銀座ファイブ二階の米倉は大正七年創業の理容院。政財界の要人や文化人が足しげく通う名店として知られています。
広々とした清潔な店内には革張りの椅子が並び、その前に足もとまで映る大きな鏡。窓からの日差しが店内を明るく照らしています。
メニューは、カット、シャンプー、シェーブ、ヘアセット、マニキュア、ヘアカラー、ひげ、フェイシャル。男性の身だしなみ全般に対応しています。大半の顧客はカット・シャンプー・シェーブセットのコースを選びますが、このコースに米倉ならではの技が詰まっています。
「カットのあとには温めたオリーブオイルで頭皮をマッサージして、汚れを取ります。頭皮の汚れは脂性なので、オイルでないと取れません。十分くらいですが、皆さん気持ちいいと言ってくれますね」と語るのは店長の大嶋昭格さん。米倉に入社して五十年以上のキャリアを持つ理容の達人です。
髪質に合わせたシャンプーでしっかり髪を洗ったあとは、シェーブ。泡立てたシェービングソープで汚れを取ってから、蒸しタオルを何枚も使って皮膚を二回スチーム。柔らかくなった肌にレザーを当てて、ていねいに剃ります。この時、皮膚の厚みを考えて、レザーの角度を微妙に変えていくのがポイント。肌を保護するローションをつけて、マッサージと耳掃除をしてコースの終了。シェーブの間、あまりの気持ちよさに熟睡してしまう人も少なくありません。
客は長く通う常連がほとんどで地方から訪れる人も多数。「常連さんがたくさんいるのがありがたい。さっぱりしたと満足してもらうのが一番のやりがいです」。
大嶋さんとの会話を楽しみながら、一流の技術で身を整える。そんな時間は多忙な人にとって、貴重な安らぎの時間でもあります。
(撮影 大森ひろすけ) |