インバウンドでにぎわう昨今の銀座。七丁目、花椿通りにひときわ外国人観光客の姿が目立つ店があります。盆栽を扱う「銀座 雨竹庵」です。店頭の見事な盆栽に感嘆の声を上げ、写真を撮る人も多く、まさしく日本文化の発信地です。
店内に並ぶ盆栽はマツ、ケヤキ、カエデ、ヒメリンゴ、カキなど多種多様。手ごろな価格の手のひらサイズから樹齢百年を超えるものまであります。いずれも自然の中にある姿そのままに小さく凝縮され、見ているだけで自然の息吹を感じる不思議な力を秘めています。
本社は埼玉県羽生市にある世界最大級の盆栽総合施設。開店二十五年目を迎える銀座店には、盆栽の文化を分かりやすく伝えるという目的があります。
「初めて盆栽を育てる方には、お手入れのガイドを渡しています。置き場所、水かけの方法、肥料のあげ方をマスターすることが第一ステップ。次に針金をかけたり、枝を切ったり曲げたりを始めます」と社長の堀越繁魅(ほりこししげみ)さん。
初心者には松の一種の真柏(しんぱく)をすすめています。いちばん丈夫で、手入れもとても簡単とか。購入後、わからないことはLINEなどで相談に応じます。盆栽教室も開催し、旅行や出張の折には健康診断も兼ねて店に預けることも可能。アフターサービスは完璧です。
盆栽のレンタルも手がけ、外国人客が多い店舗や外資系企業など、年々、得意先が増えています。
盆栽のほかには水石(すいせき)も数多く扱っています。水石は盆栽と同じく日本で独自に発展した自然鑑賞の伝統文化。一つの石塊が見る人やその時の心持ちにより、さまざまなものに見えるのが醍醐味です。
心静かに自然と向き合い、自然の声に耳を傾ける時間を提供してくれる盆栽と水石。生活に取り入れれば、毎日がより豊かに輝くことでしょう。 |