春の沈丁花(じんちょうげ)、夏の梔子(くちなし)、秋の金木犀(きんもくせい)、冬の蠟梅(ろうばい)――思い出すと記憶によみがえる、香りがあります。
「小さなころから、身近にある花の香りが好きです。四季がめぐるたび、あの香りにまた会える。そんな楽しみを感じていて」
こう語るのは株式会社大香の小仲正也社長。大香は、伽羅や沈香、白檀など日本古来の香製品の材料となる香木の輸入事業をおもに展開してきました。小仲社長は伝統の香りだけではなく、日常生活でふと感じる、どこかほっとする日本の香りを表現したいという思いを長年あたためてきました。そして二〇二一年、オリジナルブランド「暮らしの香り」を立ち上げ、銀座に直営店を開設したのです。
店内中央の大きなテーブルに並ぶのは、独自に開発したオリジナルフレグランスのテスターです。さかさまに置かれたグラスに香りがつけられ、写真のように顔へ近づけると香りが立つ仕組みです。
フレグランスは季節の香りと、四季を問わないイメージの香り、たとえば、「ひだまり」や「苔寺」「森閑」などを合わせて常時二十五種類ほど。テスターでお気に入りの香りを見つけたら、その香りの商品を選ぶ仕組みです。
商品の一つは「ブルーミングディフューザー」。液状のフレグランスに植物製のスティックを挿して空間に薫(くゆ)らせます。もう一つは樹脂やミツロウで固めた「フレグランスバー」。別売りのへら(グレーター)で削ると香りが立ちます。ほかに天然香料と肌にやさしい成分のみを使用したケア用品も展開。ハンドソープ、二種類のハンドトリートメント、マルチバームなどで、プチギフトにも人気です。
「商品をきっかけに、身近にある日本のすてきな香りを再認識してほしいですね」
今、店内は沈丁花をはじめ春の香りが満ちています。三月下旬からは、早くも梔子など夏の香りも登場予定です。 |